2023年1月8日 イエスの洗礼 森永憲治牧師

(要約)主イエスは、洗礼者ヨハネから洗礼を受けてから、神の国の宣教をはじめました。洗礼者ヨハネもイエス様も「良い実を結ぶ信仰」を持つようにと人々に教えたのです。

(説教本文)ルカによる福音書3章15~22節
本日の聖書箇所は洗礼者ヨハネのことについてです。ヨハネを理解するのは、本日の箇所の直前のところから見た方がいっそう理解できると思います。ルカ3章3~14節を見てみましょう。

03:03そこで、ヨハネはヨルダン川沿いの地方一帯に行って、罪の赦しを得させるために悔い改めの洗礼を宣べ伝えた。 03:04これは、預言者イザヤの書に書いてあるとおりである。「荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を整え、
その道筋をまっすぐにせよ。 03:05谷はすべて埋められ、
山と丘はみな低くされる。曲がった道はまっすぐに、
でこぼこの道は平らになり、 03:06人は皆、神の救いを仰ぎ見る。』」 03:07そこでヨハネは、洗礼を授けてもらおうとして出て来た群衆に言った。「蝮の子らよ、差し迫った神の怒りを免れると、だれが教えたのか。 03:08悔い改めにふさわしい実を結べ。『我々の父はアブラハムだ』などという考えを起こすな。言っておくが、神はこんな石ころからでも、アブラハムの子たちを造り出すことがおできになる。 03:09斧は既に木の根元に置かれている。良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。」 03:10そこで群衆は、「では、わたしたちはどうすればよいのですか」と尋ねた。 03:11ヨハネは、「下着を二枚持っている者は、一枚も持たない者に分けてやれ。食べ物を持っている者も同じようにせよ」と答えた。 03:12徴税人も洗礼を受けるために来て、「先生、わたしたちはどうすればよいのですか」と言った。 03:13ヨハネは、「規定以上のものは取り立てるな」と言った。 03:14兵士も、「このわたしたちはどうすればよいのですか」と尋ねた。ヨハネは、「だれからも金をゆすり取ったり、だまし取ったりするな。自分の給料で満足せよ」と言った。

ここで洗礼者ヨハネがどのような人であり、その主張はどのようなものであったかが簡潔しかも大切なことがまとめられています。
1 預言されていた。
2 3章8節「悔い改めに相応しい実を結べ」9節「良い実を結ばなければ切り倒されて火に投げ込まれる」
3 群衆への教え 11節「下着、食べ物を持っていないものに分けなさい」
4 徴税人への教え12節「規定を守れ」
5 兵士への教え「自分の給料で満足しなさい」

 このように社会正義と愛を唱えたことで大衆から大きな支持を得たのですが、それゆえに社会正義とは反対の人達、すなわち律法学者など宗教指導者に嫌われ、そして時の為政者の反感を買ったのでした。まさに神の預言者であったと言えます。
そしてこの洗礼者ヨハネの言葉は、イエス様も同じようなことをおっしゃいました。信仰は、良い結果を産むものではならないし、仮に信仰しても行動が伴わない信仰は土台無しで地面に家を建てた人のようだと。ルカ6章43~49節、

06:43「悪い実を結ぶ良い木はなく、また、良い実を結ぶ悪い木はない。 06:44木は、それぞれ、その結ぶ実によって分かる。茨からいちじくは採れないし、野ばらからぶどうは集められない。 06:45善い人は良いものを入れた心の倉から良いものを出し、悪い人は悪いものを入れた倉から悪いものを出す。人の口は、心からあふれ出ることを語るのである。」 06:46「わたしを『主よ、主よ』と呼びながら、なぜわたしの言うことを行わないのか。 06:47わたしのもとに来て、わたしの言葉を聞き、それを行う人が皆、どんな人に似ているかを示そう。 06:48それは、地面を深く掘り下げ、岩の上に土台を置いて家を建てた人に似ている。洪水になって川の水がその家に押し寄せたが、しっかり建ててあったので、揺り動かすことができなかった。 06:49しかし、聞いても行わない者は、土台なしで地面に家を建てた人に似ている。川の水が押し寄せると、家はたちまち倒れ、その壊れ方がひどかった。」

洗礼者ヨハネをさらに細かくイエス様が説明されます、7章18~35節。

07:18ヨハネの弟子たちが、これらすべてのことについてヨハネに知らせた。そこで、ヨハネは弟子の中から二人を呼んで、 07:19主のもとに送り、こう言わせた。「来るべき方は、あなたでしょうか。それとも、ほかの方を待たなければなりませんか。」 07:20二人はイエスのもとに来て言った。「わたしたちは洗礼者ヨハネからの使いの者ですが、『来るべき方は、あなたでしょうか。それとも、ほかの方を待たなければなりませんか』とお尋ねするようにとのことです。」 07:21そのとき、イエスは病気や苦しみや悪霊に悩んでいる多くの人々をいやし、大勢の盲人を見えるようにしておられた。 07:22それで、二人にこうお答えになった。「行って、見聞きしたことをヨハネに伝えなさい。目の見えない人は見え、足の不自由な人は歩き、重い皮膚病を患っている人は清くなり、耳の聞こえない人は聞こえ、死者は生き返り、貧しい人は福音を告げ知らされている。 07:23わたしにつまずかない人は幸いである。」 07:24ヨハネの使いが去ってから、イエスは群衆に向かってヨハネについて話し始められた。「あなたがたは何を見に荒れ野へ行ったのか。風にそよぐ葦か。 07:25では、何を見に行ったのか。しなやかな服を着た人か。華やかな衣を着て、ぜいたくに暮らす人なら宮殿にいる。 07:26では、何を見に行ったのか。預言者か。そうだ、言っておく。預言者以上の者である。 07:27『見よ、わたしはあなたより先に使者を遣わし、
あなたの前に道を準備させよう』
と書いてあるのは、この人のことだ。 07:28言っておくが、およそ女から生まれた者のうち、ヨハネより偉大な者はいない。しかし、神の国で最も小さな者でも、彼よりは偉大である。」 07:29民衆は皆ヨハネの教えを聞き、徴税人さえもその洗礼を受け、神の正しさを認めた。 07:30しかし、ファリサイ派の人々や律法の専門家たちは、彼から洗礼を受けないで、自分に対する神の御心を拒んだ。 07:31「では、今の時代の人たちは何にたとえたらよいか。彼らは何に似ているか。 07:32広場に座って、互いに呼びかけ、こう言っている子供たちに似ている。『笛を吹いたのに、
踊ってくれなかった。葬式の歌をうたったのに、
泣いてくれなかった。』 07:33洗礼者ヨハネが来て、パンも食べずぶどう酒も飲まずにいると、あなたがたは、『あれは悪霊に取りつかれている』と言い、 07:34人の子が来て、飲み食いすると、『見ろ、大食漢で大酒飲みだ。徴税人や罪人の仲間だ』と言う。 07:35しかし、知恵の正しさは、それに従うすべての人によって証明される。」

イエス様の直弟子、使徒は、洗礼者ヨハネ時代からというのが条件であった。また、ヨハネ福音書ではイエスの直弟子は、もともと洗礼者ヨハネの弟子だったとある。使徒言行録1章15~26節
01:15そのころ、ペトロは兄弟たちの中に立って言った。百二十人ほどの人々が一つになっていた。 01:16「兄弟たち、イエスを捕らえた者たちの手引きをしたあのユダについては、聖霊がダビデの口を通して預言しています。この聖書の言葉は、実現しなければならなかったのです。 01:17ユダはわたしたちの仲間の一人であり、同じ任務を割り当てられていました。 01:18ところで、このユダは不正を働いて得た報酬で土地を買ったのですが、その地面にまっさかさまに落ちて、体が真ん中から裂け、はらわたがみな出てしまいました。 01:19このことはエルサレムに住むすべての人に知れ渡り、その土地は彼らの言葉で『アケルダマ』、つまり、『血の土地』と呼ばれるようになりました。 01:20詩編にはこう書いてあります。『その住まいは荒れ果てよ、
そこに住む者はいなくなれ。』
また、
『その務めは、ほかの人が引き受けるがよい。』 01:21-22 そこで、主イエスがわたしたちと共に生活されていた間、つまり、ヨハネの洗礼のときから始まって、わたしたちを離れて天に上げられた日まで、いつも一緒にいた者の中からだれか一人が、わたしたちに加わって、主の復活の証人になるべきです。」 01:22 01:23そこで人々は、バルサバと呼ばれ、ユストともいうヨセフと、マティアの二人を立てて、 01:24次のように祈った。「すべての人の心をご存じである主よ、この二人のうちのどちらをお選びになったかを、お示しください。 01:25ユダが自分の行くべき所に行くために離れてしまった、使徒としてのこの任務を継がせるためです。」 01:26二人のことでくじを引くと、マティアに当たったので、この人が十一人の使徒の仲間に加えられることになった。

ヨハネ1章35~40節
01:35その翌日、また、ヨハネは二人の弟子と一緒にいた。 01:36そして、歩いておられるイエスを見つめて、「見よ、神の小羊だ」と言った。 01:37二人の弟子はそれを聞いて、イエスに従った。 01:38イエスは振り返り、彼らが従って来るのを見て、「何を求めているのか」と言われた。彼らが、「ラビ――『先生』という意味――どこに泊まっておられるのですか」と言うと、 01:39イエスは、「来なさい。そうすれば分かる」と言われた。そこで、彼らはついて行って、どこにイエスが泊まっておられるかを見た。そしてその日は、イエスのもとに泊まった。午後四時ごろのことである。 01:40ヨハネの言葉を聞いて、イエスに従った二人のうちの一人は、シモン・ペトロの兄弟アンデレであった。」

実際、福音書を見ても、マタイ28章18節、

28:18イエスは、近寄って来て言われた。「わたしは天と地の一切の権能を授かっている。 28:19だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、 28:20あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。

このようにイエス様は洗礼を命じましたが、十字架にかかる前のこの世でのイエス様が誰かに洗礼を授けたシーンは見当たらず、洗礼はヨハネがしたのです。また、マルコ福音書1章4~5節を見ますと、

01:04洗礼者ヨハネが荒れ野に現れて、罪の赦しを得させるために悔い改めの洗礼を宣べ伝えた。 01:05ユダヤの全地方とエルサレムの住民は皆、ヨハネのもとに来て、罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた。

とあります。すると、イエス様の弟子達も、皆、基本的には洗礼者ヨハネから洗礼を受けていたと考えられます。そして復活したイエス様が天に昇られる先ほどのマタイ福音書28章
で弟子たちにすべての人を弟子にして洗礼を授けるように命じたのは、洗礼者ヨハネの洗礼を踏襲したと考えられます。使徒言行録でユダの代わりの使徒の条件として使徒ヨハネの時からというのも、ヨハネから洗礼を受けた人、という可能性は十分あるでしょう。

このように考えると、ヨハネは、イエス様と大変に密接な関係があり大変重要な存在だったと考えられ、だからこそイエス様は7章28節「言っておくが、およそ女から生まれた者のうち、ヨハネより偉大な者はいない。」とおっしゃったのかもしれません。

2023年も始まりました。新年にあたり改めてこの一年も信仰堅く歩みたいと思います。その信仰は、洗礼者ヨハネもイエス様も強調された「良い実を結ぶ信仰」を持って、日々歩みたいと思います。